コラム

挑戦的であり、攻めにまわれない経営企画機能であるならば、自らがこの機能を破壊すべき。

シェア
FacebookTwitterLinkedIn
挑戦的であり、攻めにまわれない経営企画機能であるならば、自らがこの機能を破壊すべき。

経営企画業務。

Wikipediaによれば、以下のように定義されています。

経営企画(けいえいきかく)とは

企業などの組織体が定めた経営戦略に方向付けられた中長期、または短期の計画立案、およびその遂行にあたり最適な経営資源の配分を行うことである。

「経営企画」の定義は組織体によって千差万別ではあるが、「経営戦略、経営計画、経営組織を立案し、業務監査に関る機能」[1]とされることもあり、会社の政策を樹立し将来の絵を描く機能[2]、とも言われる。

また、「戦略目標を指向した計画の立案」と「遂行に当たって経営資源の最適配分」はトップマネジメントから経営企画部門に期待される機能と言えよう。

企業の成長の時間軸に沿って考えてみると、まだ小規模な段階の会社においては、経営者自らがこうした業務を行うことが多い。だが、従業員数が125名程度を超えると、企業は質的転換を迫られ、社長個人の直感に頼ってばかりはいられなくなり、組織に経営企画機能をしっかりと持たせることが必要になる[3]ともいう。

規模の大きな企業においては、経営企画は本社機能の一部とされ、その機能を持たせるために「経営企画部」や「経営企画室」といった部署がおかれ人員が配置されることがある。これは職種としての「経営企画」が存在していることも意味する。

これでは、本質が分からない。そして、世の中の理解もこの程度であると考えられます。

タスクを列挙しても、なお分かりにくいでしょう。

・経営方針と中期経営計画や単年度経営計画の策定(利益と資金計画)

・単年度経営計画や中期経営計画のBS・PL・CFの予算実績管理を実施

・予算編成業務全体のマネジメント、予算管理制度、予算規定の作成

・新規事業計画立案や既存事業の撤退を判断

・必要に応じて組織の改革と再編をリードする

・株主や投資家へ経営、財務状況、業績動向等の情報を発信するIR活動

・マーケティング業務(組織に専属部署がなく営業部でもマーケティングの仕事をしていない場合)

以上のように、全社視点での業務が多岐に渡りますが、

 

「経営企画室で働くこと」と

「経営企画室と働くこと(コンサルタント)」

いずれであっても、社長直下の戦略参謀機能である経営企画という世界について誤解があるように思います。

このセクションには、本来、新人やプロパーが実務担当として入るべきではありません。また、CEOおよび経営企画が本来担うべきアジェンダで仕事をしないコンサルタントは、経営コンサルタントとは呼べません。

経営企画とは、成功した創業社長の頭の中の最後の分業によって生み出された機能です。その理解がないまま、経営企画に所属してタスクだけをこなしている人材が散見されます。

大前提として、

会社は、事業を発展させるために、そしてその発展に応じて社内の体制を構築していかなければなりません。事業が拡大すれば、それに対応する組織能力が必要になります。

「組織論は上手な分業推進の技術論。マネジメントは、その分業体制の運営技術。」

この視点から整理すると、経営企画とは、

リーダーシップの発揮だけは、最後まで社長が自ら担うべきですが、それ以外は基本的に組織による分業が可能です。

その上で、今ある営業や商品、管理部門などの組織ではカバーできていない、会社の運営を安定化させ、発展させるために必要な機能であること。

 

経営の意思として実行しなければならないが、任せられる部門が存在しない課題や仕事を受け持ち、推進し、これを全て担わなければいけないのが経営管理も含めた経営企画、すなわち戦略参謀機能です。

経営企画とは、経営者にとって「最後の分業」であり、本来最も入念に設計しなければならないのが、この参謀機能です。

この仕事は、「こんな感じがいいと思います。」という程度の表現で進められるものではではありません。誰よりも分析を重ね、言語化し、何がポイントなのかを抽出して人に上手に伝え、全社視点での動きを創っていかなければいけない仕事です。

スタートアップの経営者であれば、人手不足かどうかに関係なく、全てCEOが担う仕事です。

大規模組織であっても、社長が担うべき重要課題への対応を自ら代行し、判断をしながら動いていく機能が求められます。

成功した経営者ならばこう動くだろう、という視点を持ち、実際に行動に移せる人材がこの業務を担うべきです。バックオフィス出身で経営や事業責任を持った経験のない人材が担うべきではありません。アントレプレナーシップのない人が就くべきでも、任せるべきでもありません。

戦略参謀機能は、しばしば「エリートの仕事」「頭の良い人の仕事」と捉えられがちですが、それは大きな誤解です。また、所属しているだけでエリートと見なされるのも誤解です。逆に「エリートではないから向いていない」と考えるのも誤りです。

そもそも経営とは、IQが高いだけで偉そうに理屈をこねて成り立つものではありません。そうした人物がエリート意識を持って参謀機能に集まると、組織にとって好ましくない結果を生みます。

プライドに固執したり、知恵を使って保身に走ったりする。会社のために、市場のため、社員のため、そして社長のためにどう機能させるべきかという明確なイメージを、社長、そして参謀機能の長がしっかり持つべきであり、実行力、推進力が必須となります。トップに引け劣らないリーダーシップが必要です。

成功のためには、時に苦言を呈しつつ、トップへの配慮を持って進言できるセンスも求められます。

ただし、社長に進言するドン・キホーテのような存在で、かつまともな人物はそう多くはありません。社内の声をまとめる感性と能力も不可欠です。

まとめると、

経営企画室というと、エリート集団のように聞こえるかもしれません。しかし、本来の戦略的な参謀機能としての経営企画室は、「企業のあるべき方向に向かって挑戦的であり、攻めにまわる動き」をしなければなりません。

なぜならば、成功した創業者は、そう考えて行動していたはずだからです。成功者の精神に最ものっとった動きをする機能こそが、経営企画室です。

この「あり方」を見誤ることなく、経営戦略、計画、管理を担う人材は、そのタスクを全力で遂行してください。競合の想像を超えるスピードで、経営のPDCAを回してください。

以下に挙げた通り、経営企画が学習・理解すべき領域は広範に及びます。

(以下、実務スキル一覧)

・経営計画と予算の関係、予算体系

・経営計画作成プロセス概要

・外部環境分析

・内部環境分析

・経営戦略

・財務における運転資金

・運転資金と回転期間の関係

・キャッシュフローの改善方法

・営業キャッシュフローの算定

・設備投資総額の目安

・フリーキャッシュフローの算定

・借入金返済額の算定

・現預金残高の算定

・新規借入金調達額の算定

・内外環境分析と戦略決定の流れ

・財務戦略の決定

・財務目標の決定

・売上高計画値の算定方法

・中長期財務計画作成手順

・非製造業・製造業いずれかの中長期財務計画の作成

・短期借入金と長期借入金のバランスの取り方解説

・バランスシート分析のポイント理解

・予算編成業務全体像

・予算編成方針骨子と素案

・予算編成方針作成プロセス

・部門別予算平成業務の注意

・経理財務ができないシミュレーションによる当期着地見込作成

・シミュレーションによる総合予算と各予算表の作成

・人件費予算作成

・販管費予算の作成

・経費精算業務の効率化

・適正在庫の基本的な考え方

・商品毎の利益貢献度の理解

・財務指標の棚卸資産回転期間の限界

・最も利益貢献度が高い商品の見極め方

・適正在庫の計算式と作成のポイント

・月別の売上予算・仕入予算・在庫予算を作成する際の手順とポイント

・製造予算の作成方法概要

・製品別作業工程表の作成

・製品別生産計画・製品別在庫予算表の作成

・製品別、直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費予算表の作成

・製品別製造原価予算表の作成

・仕掛品評価のポイント

・実務において計画と実績を防ぐ方法

・各予算表と各収支表を完成させた後に見るポイント

・最低保持すべき現預金残高の理解

・財務の基本

・バランスシート分析の限界

・金融機関や格付機関が重要視するキャッシュフローのポイント

・キャッシュフローの状態を掴む分析手法

・上場企業の財務データを利用して財務分析

・予算と実績のギャップ原因

・ギャップを撃退する対策

・経営の見える化について

この記事をシェアする

FacebookTwitterLinkedIn
Executive CoachingMindsetのエグゼクティブ
コーチング

貴社の組織構造や課題により支援内容をオーダーメイドでご提案いたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。

Knowledge

ナレッジ

Mindsetでは、リーダーシップ開発や組織開発に関する研究を発信しています。

White Paper

ホワイトペーパー

【組織マネジメント】 組織のエンゲージメントを圧倒的に高める組織開発・人材育成の体系化と仕組みの創り方

【組織開発の完全ガイド】

戦略とエンゲージメントを統合し、 高い実行力を発揮する組織開発の取り組み

【企業変革の完全ガイド】 戦略と文化の一致なくして、 変革は実現しない 企業における「戦略」と「文化」

【企業文化の完全ガイド】

戦略と文化の一致なくして、 変革は実現しない 企業における「戦略」と「文化」

【企業文化の完全ガイド】 「両利きの経営」を実現する
企業変革とリーダーシップ

【企業変革の完全ガイド】

「両利きの経営」を実現する
企業変革とリーダーシップ

【エグゼクティブコーチングの全て】 自己変容と組織変革に立ち向かう エグゼクティブコーチングの意味と必要性

【エグゼクティブコーチングの全て】

自己変容と組織変革に立ち向かう エグゼクティブコーチングの意味と必要性

【事業マネジメント】 過去最高業績が出せて 離職なしの強い組織の創り方

【事業マネジメント】

過去最高業績が出せて 離職なしの強い組織の創り方

【組織開発の完全ガイド】 戦略とエンゲージメントを統合し、 高い実行力を発揮する組織開発の取り組み

【組織マネジメント】

組織のエンゲージメントを圧倒的に高める組織開発・人材育成の体系化と仕組みの創り方

外資コンサルだけが知っている プロジェクトマネジメントの技術

プロジェクトマネジメント

外資コンサルだけが知っている プロジェクトマネジメントの技術

Column/News

コラム / ニュース

取材記事公開のお知らせ 『Power of Work』
ニュース

取材記事公開のお知らせ 『Power of Work』

成果が出る戦略には理由がある──現場から学ぶ、構築と実行のリアル
コラム

成果が出る戦略には理由がある──現場から学ぶ、構築と実行のリアル

Will,Can,Mustフレームワークの真実
コラム

Will,Can,Mustフレームワークの真実

挑戦的であり、攻めにまわれない経営企画機能であるならば、自らがこの機能を破壊すべき。
コラム

挑戦的であり、攻めにまわれない経営企画機能であるならば、自らがこの機能を破壊すべき。

すべて見る

Media

メディア

pivot
新R25
youtube
youtube
youtube
youtube
youtube
youtube
youtube

Books

書籍

チームが自然に生まれ変わる
著:李 英俊・堀田創

【あなたの職場はなぜ、たるんでいるのか?】「やる気・根性・ノルマ」で人はもう動かない。本音の見えないリモート時代…「やれる気しかしない」最高のチームをつくるには? 「組織開発のプロ」と「AI企業の経営者」が語る、 人の認知メカニズムに最適化された「新時代のリーダー」のための思考法!!

篠田真貴子氏(エール株式会社 取締役)推薦
「まず個人のWant toがあり、それが組織のパーパスと重なっていく。そんなチームだらけの世の中にする本」

詳細を見る
チームが自然に生まれ変わる 書籍表紙
Coaching Team
Coaching Team

Coaching Team

Mindsetのエグゼクティブコーチは、変革リーダーシップ開発コーチング及び、組織コンサルティングプログラムを修了しており、自身が戦略コンサルタントや経営者としても活動しています。

Recruit
Recruit

Recruit

経営者やコーチとしての豊富な経験を活かし、エグゼクティブコーチとしてMindsetと共にクライアントへ価値を発揮する仲間を募集しています。