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成果が出る戦略には理由がある──現場から学ぶ、構築と実行のリアル

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成果が出る戦略には理由がある──現場から学ぶ、構築と実行のリアル

本記事では、戦略コンサルタントの立場から、戦略構築に関する基本的な視点を記してみたいと思います。

あくまで入門的な内容ですが、いくつかポイントがあります。

1.戦略構築において、予測ではダメ

戦略の前提部分は、

「こうなるだろう」という予測の領域ですが、戦略の中核、すなわち実行段階においては、

「私が、こうしてみせる」という、実績に裏打ちされた能力と経験に基づく「意志と信念」の領域です。

2.戦略の成果が現れるまでの速度について

即効性のある戦略であれば問題ないですが、待機時間の長い戦略を履行するのであれば、

「いつまでに事業を軌道に乗せられるのか」

「いつまでに収益が黒字にできるのか」

が大切になることは言うまでもありません。

最も楽観的な短い期間を、ベストを尽くしてそれを達成するという覚悟で決め、

最も悲観的な長い期間を、それよりも遅れたならば戦略を放棄するという覚悟で決めるべきです。この覚悟が、大切です。 

1.で記したように、戦略の検討とは「こうなるだろう」という未来予測の領域ですが、戦略の実行は、「こうしてみせる」という意志で未来を創造する領域です。

また、戦略の待機期間が長期にわたる場合、組織の耐久時間を延ばせるかは一体となって思考するべきです。戦略をやる意義の明快さと、意義そのものがどれだけ質が高いか。

組織の耐久時間を延ばすには、単一の目標だけでなく、戦略意義を複数持たせること。時間を費やしても、やる価値があるのなら、待てます。たとえ、失敗しても得るものがあるなら、実行することができます。

3.実行する組織の「らしさ」を「本当にやる際を」徹底して思考する

挑戦に際しては、組織の「らしさ」を損なわずに挑戦価値が最大化されることを大事にするべきです。 たとえば、ウサイン・ボルトを重量挙げに変更させるような「らしさ」を無視した挑戦は、挑戦ではありません。

事業戦略において、「どういう事業をやるのか」という大上段な課題だけでなく、

そのときに注力すべきポイント、どこが一番大事な「力のかけどころ」なのかといった、whatの細部にいたるまで精細なことを言っておきながら、howの部分で「日々実行する人間」の本能を邪魔しないような自由さを保つという、矛盾した要求に徹底的に配慮できるかが問われます。 

「実行者」がやりやすいように、そして「やって良かったなぁ」と思えるような、そういう「相手の本質を引き出せるようなwhat」を逆算して用意してあげられるかが、本当の論点の目利き力です。

4.戦略の創り方をなんて、 簡単に考えていい。

目的があって、フォーカス、ポジションニング、リソース割り当て。

これ以上でも以下でもないです。継続的な目的とリソースの最適化。

マーケットの一般解から、自社と外部変数を入れ込んだ固有解の関数でしかないです。戦略がかなり、ありがたく難しいものになっているが、そんなものです。

5.完璧主義者ではダメ。本物の才能ある完璧主義者じゃないとダメ

一撃必殺を謳ったところで、一撃で終わらない。意思決定は必ず失敗もします。 そもそも、一撃でと意気込み方が意思決定が慎重にならざるを得ないリスクを抱えるだけです。それならば、狙う的が多層的であり、一つの矢で複数を射抜けるように、そして、1の矢を打つ前から、2の矢と3の矢があるように組むことが望ましいです。 

ちなみに、戦略家は完璧主義者が多いです。物事の細部に徹底的にこだわる力。それが彼らの才能の一部です。しかし、全部ではありません。もし、完璧主義者と評される人物が、本当にすべての細部にこだわって仕事をしているならば、その人物は、かならず健康を害してしまうでしょう。その当然のことに気がつくとき、我々は、完璧主義者が、もう一つの大切な才能を持っていることを知ります。

 「こだわるべき細部と こだわらなくともよい細部を見分ける力。」

捨てる勇気、なるものを発動するのではないのです。 

身体知として、こだわらなくてもよい細部が分かる才能です。これがない人は、戦略構築に向いてない……というか、ビジネスリーダーにあまり向いてないです。

最後に、

6.創造力と創作力がないと話にならない

戦略における創造性の必要性については、あらためて説明する必要もないかもしれません。

あえて、何かを伝えるとすれば、創造性は全てのヒトに備わっているということです。クリエイティビティが弱いと思っている人がいるとすれば、それは世間か自分に騙されているのです。 

世のクリエイティブクラスたちは、0を1になんてやっていないです。新たに学習した100を1にするようなことをやっています。

こういったことを書きながら思うのは、痛みを知らない人への座学(ロジックの説明)というのは本当に残念ですが、受け手の心に残らない、スキルにはならないということです。

これがコラムだからでもなく、熱く目の前で講義をしても全く同じです。

自分のお金で、一度は商売をやってもらうしかないだろうと思います。戦略論。

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